ハウス・オブ・グッチで用いられた演出について考察

 

 

1,保護主義

 マトリツィオの父ロドルフォはパウロに対して、「才能がない人間は保護する」と発言。息子マトリツィオを箱入り息子として育てていたことから、息子を才能がないと見ていたのかもしれません。また「パウロの才能がないことは唯一兄と意見が一致する」との発言から、マトリツィオをグッチの後継者として期待を寄せていたアルドとは対照的な意見を持っていたともとれるかもしれません。

 

2,比喩

 パウロが用いる比喩表現には、膀胱、馬の糞、うんちなど下品なものが多い。イメージを下げさせる狙いかでしょうか。

 

3,プロセスはどうでもいい結果にフォーカス

 パトリツィアがパウロの株を手に入れたときの発言。ラストの行動への納得感を上げる狙いかもしれません。

 

4,甘い言葉はバカにされたように感じる

 アルドの発言。息子パウロは、パトリツィアの「才能がある」などの甘い言葉に誘惑されアルドの脱税の情報を教えてしまいます。親子で経営手腕の差が見て取れます。

 

5,皿を割る

「王族のように育てられた」という牛肉の説明を聞いて、マトリツィオが皿を地面に投げつけます。彼らによるグッチの買収を、王族の牛肉をおいしく食べるさまで表している。美しい。