本作品は演技に力を入れた作品です。
配属された最初の日に、監督から「この映画はスパイダーマンの映画だからアクションはもちろん大事にしたいけど、ドラマも重視したいから、アクティングに力を入れたい」という話をされたんです
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』はここがスゴい! 参加アーティストが語る制作の裏側 (cgworld.jp)
その練りに練られた表現の数々を解説していきます。
1,意見の対立と逆さ
序盤グウェンとマイルスの会話。マイルズが「親にスパイダーマンだと打ち明けようかな」と言ったときに「辞めな」と制止。そこから逆さまになるグウェン。二人の考え方の違いを強調する表現。ポスターでの上下反転も印象的。マイルスに反対する人を逆さまに表現している?
その後マイルスもグウェンと同じく逆さになり、彼女に寄り添った意見を述べる。
終盤グウェンがマイルスの家に侵入したときも逆さ。グウェンを中傷するマイルス親子との意見の対立を表現。
ピーターが今作で初登場するとき。マイルスとミゲルの会話中に逆さで割って入った。
2、目線をそらす 見たくない気持ちを表現
ミゲルがグウェンをもとの世界に戻すシーン。「うちらヒーローだよね?」と批判するグウェン。目をそらすジェシカとピーター。目線が変わらないミゲル。
終盤グウェンがマイルスの家に侵入したシーン。マイルス親子の「あの子が間違った連中と付き合うのが心配なんだ」セリフ。ピンポイントに"間違った連中"のフレーズの時だけ目をそらすグウェン。
3、背景の変化
終盤グウェンが父親と話すシーン。背景が緑とピンクの二つで描かれている。ピンクの補色は緑。ピンクはグウェンを指し対立を表現。
父親が「警官を辞めた」と告げる。背景が変わる。元の色に戻ったのか?「大事なのはお前だ」というセリフとともに背景が白とピンクが混ざった色に変化。
4、テーマ 自分のことは自分で決める
ミゲルとマイルスの戦闘。ミゲルはマイルスのことを、こどもガキぼうずと呼ぶ。マイルズは「自分のことは自分で決める」と言う。そしてミゲルを倒す。
マイルスがアース42に飛ばされたシーン。かけられた言葉を思い出す。「全員は助けられない」「お前からすべてを奪う」「迷子にならないで」「まっすぐ進め」その後に車にひかれる。言われた言葉を信じると悪いことが起こると表現か。
アナーキストのホービーは、縛られることを嫌うキャラで、反抗するマイルスの姿を称賛するように笑う。そんな彼をスパイダーソサエティで1位2位を争うマイルスの味方として描く。「やるけど言われたからじゃねーぞ」
グウェンの父親は、今まで「規則に従え」と教えてきた。警官をやめ「大事なのはお前だ」と告げるとグウェンから抱きしめられる。その後「親の仕事は分からんな」。子供を愛するのが親の仕事。
最後ピーターがグウェンの呼びかけにのるシーン。「ママには言うなよ」。規則に従わず自分で決めている。